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初めての発表会Ⅰ

「始めての発表会」            

練習がとても楽しくなってきた。少しずつ歌のことがわかってきたの

と、声の出し方がわかってきたからだろう。 そして、なんといっても黒

先生の人柄にもあったと思う。一見、性格のきつそうなすこし意地

悪そうな(ごめんなさい)印象を受けるが、教え方は懇切丁寧で、的

確なアドバイスをくれる。それも、きっと先生がピアノだけでなく声楽

やバレエ・日本舞踊等色々なことを勉強されていたからだろう。

歌というジャンルに全くの素人だった私にあんなに根気よく初歩の初

歩から教えるのは大変だったと思う。いつもわかりやすい言葉で

色々な事を教えてくれる。

歌のレッスンではまず、楽譜通りに音程・リズムを全てきっちり歌う

事を教えられた。少しでも音程のズレやリズムの拍子の狂いがあっ

た時などは容赦なく指摘される。そして、それが出来ると今度は歌詞

を付けて歌うことに入った。最後に全体の歌詞を通して曲の表現とい

う方法だった。この歌詞の表現に入ると、今までの厳しさとは一変し

て、まるで人生口論のような事ばかり言うのである。よくもこんなに面

白い言葉が次から次へと出てくるものだと思うことがよくあった。

そして、彼女には「音痴!」といってよく笑われたものだ。(今も私の

音痴は直っていない。友人にあんたそれでもほんまに歌手かと言わ

れている。)

教室に通い始めて3ヶ月くらいたった頃教室のボーカル部門の発表

会があるという事を聞かされた。発表会は子供の時に習っていたピ

アノでもあったが、もう、それはそれは苦手だった。緊張しまくって手

に汗をベタベタにかいて、出演間際までいつもハンカチで手をずっと

拭いていた記憶がある。

まして今度は歌である。人前で歌うなんて恐ろしい・・・。 しかし、全

員強制的に出場するとのことで、発表会で歌う曲を決めるように言わ

れた。一人2曲割当てだった。自分にどんな歌が向いているのか、ま

た、どんな歌があるのか相変わらずあまり知らない私は、シャンソン

以外から他の1曲を選んだ。マライア・キャリーがカバーしていた、

元歌はニルソンという60年代の歌手が歌っていた「Without You」と

いう曲である。

この歌は高音部分でかなり押して歌い上げるので、かなりの声量が

いった。私にとっては苦手な分野だ。この歌を歌うために必死で練習

した。3日ほど前までは、なんとか苦しいながらも高音部分がちゃん

と出ていたのに、直前になって風邪をひいてしまったのだ。

鼻水から始まって、喉のほうに進行して、喉が腫れ上がり、声がガラ

ガラになってしまった。耳鼻科の先生に泣きついたが、元の声には

戻らなかった。緊張と練習のしすぎから直前に風邪をひくなんて、最

悪の事態である。この癖はいまだに直っていない。喉のコンディショ

ンを整えながら歌う歌手にとって一番大切なことが、私にとっては一

番苦手なことである。

医療費を一定金額以上使用すると、保険から「見舞金」が支給され

るが入社して始めて、その見舞金をもらった。

それくらい、風邪と私は相性がよかったらしい。
by sarah000329 | 2005-01-16 19:15 | デビューするまで
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